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今日も月が綺麗ですねーv
これが昔の言葉では愛の告白になったのですから、どんだけピュアでシャイなのさー(*/∀\*)あーニヤニヤしますね!

そして名月に託けて妄想してみました。豆シバのトンピです。
少しでも、すーさん様の癒しとなりますようにー!


 眸を閉じたままで、朝日の眩しさを感じる。
 ピダムは昨晩のことを、ゆっくりと反芻した。--そう、そうだ。会社に缶詰連日の徹夜で、さすがの体力自慢である身体も疲れ果て、漸く振りの帰宅にも湯を使うことすら面倒であった。
 それなのに、温かい。最近朝はそれでも少し冷えるというのに、どこも温かかった。顔を少し下げれば、頬に当たるさらさらとした感触が、また心地よい。なんだか首筋が擽ったくて身を捩れば、コロリした重みが胸に寄りかかってきた。

「とっ、トンマ……っ!」
 
 一晩の内によれたシャツを握り締め、くぅくぅと吐息を繋ぐ小さな肢体が、ピダムの胸に張り付いている。
 跳ねる心臓をなんとか抑えつつ、ピダムはそっと、寝心地がよいであろう元の位置に戻してやる。眠りが深いのかトンマンからは一言も漏れず、今も彼女は夢の中にいるらしい。ほっとしたついでに、先ほど頬で撫でた髪を直してやると、口元が上がった気がした。
 
(全然、気がつかなかった……)

 トンマンがいつ来たのも、まったく覚えがなかった。
 そして足元までを包む、寝室から引っ張られた毛布。はたまたマットとして使おうとしていたのか、ご丁寧に座布団まで敷いてある。道理でフローリングで一晩過ごしたにも拘わらず、ふかふかであった訳だ。--それらすべて用意したのは、きっとこの小さな手なのだろう。
 
(大変だったろうに……)

 慰労と感謝を込め口付けた額からは、石鹸の香りと、トンマン自身のどこか甘い匂いがした。

「んー…、んぅ? あ、ピダムだぁ」
「うん。おはよう、トンマン。……でも今日はお休みの日だろ? まだ寝てていいよ」
「…んー。……ねぇ、知ってた? 昨日は、お月様がまんまるになる日だったんだって……」
「あぁ、そういえば……」

 夜空を見上げる暇など、そんな気持ちの余裕すらピダムは忘れていた。

「せんせいがね、昔の人は月をめ、めでる…? うん…、めでながら、大切な人たちと、いっしょにすごしてたんだって……」
「うん、そうだな」

 まだ睡魔が残っているのか、吐息混じりのゆったりとした口調がたどたどしいながらも、ピダムには愛らしく思えた。

「だからね…、ピダムと月を『めでる』をしたかった、の」
「それで、待っててくれたのか?」
「…ん。ピダムが、……これ、くれたから……」

 首にぶら下げられた紐を引っ張りたいのであろうが、トンマンの両手は中途半端に掲げられただけだった。
 またもや重くなったであろうトンマンの目蓋を、ピダムはそっと後押しするように髪をゆっくりと撫でてやった。据わりのいいように、とろとろと伏せられた睫毛を肩に引き寄せ、今度は背中を一定のリズムで軽く叩く。空いた右手で頬に掛かった横髪を流してやれば、きゅっと人差し指に紅葉の手が巻き付いた。

「ね、あしたも、お月さま……、まんまるかなぁ?」
「あぁ、きっとまん丸だ。そしたら一緒に愛でよう、な?」
「ん…。……ね、ピダム、」
「どうした、トンマン?」
「もう…、どこにも行かない……?」
「……あぁ、どこにも行かないよ……」

 辛うじて聞き取れた吐息に、ピダムはもう一度、小さな身体をぎゅっと抱き締めた。温かな寝息に誘われたのか、確りと覚醒したピダムの意識も、部屋を仄かに満たしてゆく朝陽に柔らかく解けていった。


腕の中の光は月よりも満ちて  end.

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