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台風の爪痕が凄まじいですね。これから雨が降るそうで、まだまだ予断を許さない地区もあるとのこと。被害がこれ以上出ませんように……!!

続きからは、現代版社長トンピで『獣の飼い方』的に短い作文たちです。
最後にちょこっと表現注意なものもありますので、お気をつけ下さい。


▼何事も始めが肝心です。してはいけない事はきちんと教えましょう。

「ユシンは必要な人材だ。それ以上も以下もないのに、どうしてお前は納得してくれないのだ」
「それは本当に我が社にとってだけですか?」
「……何が言いたい」
「社長にとっても必要だから、ユシンの出向期間を縮めて、本社に戻されるのでは?」
「それではいけないのか?」
「社長! 私は…っ、」
「話は以上だ。この決定事項は覆えしません。……もう、下がりなさい」
「…っ! ……では、失礼致します」


▼ちゃんとできたら褒めてあげましょう。一つずつ正しいことを学んでゆきます。
 
沈黙と共に再び下がったトンマンの双眸が、自分を冷たく突き放したかのようにピダムには思えた。

 --現職に就任してからというもの、トンマンが己を見る目は明らかに一部下としてのものになった。公私の区別は当然のこと。それはピダムとて言われずともわかっていた。だが、理性で押さえつけても絶対に縛り付けられないもの、それが心というものだ。 
 好意は示してくれたトンマンであったが、それは未だ形のあるものではない。一転して『その他大勢』と成り下がったのだと悲観した心を、ピダムは懸命に押し殺した。

 しかも社長職は多忙を極め、以前のような気安い会話すらここ数週間一つもない。この舵取りの難しい経営状態において、愛だの恋だのと現を抜かす暇などないとはわかっている。だがわかっているからこそ、ピダムはトンマンの温もりが欲しくて堪らなかった。
 会食での談笑一つとっても、数多くの男を前して笑顔一つ零すトンマンに憎らしさすら覚えてしまう。
 --だがこのまま、この愛しい女が他の誰かに心を移す日が来てしまったら
 --己の代わりなど幾らでもいるのだと、トンマンに告げられてしまったら……
 そう想像しただけでとてつもない恐ろしさに、ピダムの歯が震えた。

「--ピダム、少し寄ってくれ」

 その先には、変わらぬ威厳で包まれた眼差しがあったが、ピダムは言われるが侭に脚を進める。

「……手を、出してくれるか?」

 優しい香りが鼻を突いたと理解する前に、ピダムの身体は固まってしまった。
 トンマンが、あの決して社内では甘い雰囲気など欠片すら出さない、あの鉄の意志を持つトンマンの真白い掌が、褐色のそれを労わるように包んでいるではないか。

「…すまないピダム、私は社長失格だ。私の一番近くにいてくれるお前の心を、理解しようとしなかった」
「……、トンマン…」

 勤務中は絶対に呼ぶなと釘を刺されたにも拘らず、思わず口を吐いた想い人の名。しまった、とピダムが気づけ眉を顰めれば、ふっとトンマンは笑みで返した。それだけでピダムの身体に温かい歓喜が流れ込み、知らず彼の顔も微笑で彩られた。

「人が集まれば、意図せずとも派閥に組み込まれてしまう。私はこれからも、一緒に夢を見られる人材を増やしていきたいと思っている。私が個人の能力を重視し過ぎていると、お前は危惧したのだろう? 生まれ持った資質より、それを内包する志を、私はもっと見なければいけないな」
「いえ、私は……、」

 トンマンは、己の愛するこの女性は、男の醜い嫉妬心など考えもつかないのだろう。

「ありがとう、ピダム。これからも私の傍にいてくれるか? これからも、こうして私を諫めてくれるか?」
「はい、勿論です。どうかご安心なさって下さい、社長」


▼時には甘えてあげることも効果的です。自主性が養われるでしょう。

「……社長。車中で文字を追われると、ご気分が悪くなります。せめて社に戻られてからにしては如何です」
「…あぁ、これだけ読ませてくれ。ユシンからの報告が入る前に、頭に入れておきたい」
「そんなことをまた仰って……! それにここ最近、ずっと遅くまで篭っておられるではありませんか? せめて移動中だけでもゆっくりお休み下さい。社長がお倒れでもしたら、私は……!」
「……わかった。本当に休んでいいんだな?」
「勿論です!」

 その言葉を待って、トンマンはごろりと横になった。高級車の名に相応しく、トンマンの華奢な四肢をシートが柔らかく受け止める。狙いを定めた枕を丁度いい位置に調節して、呆気に取られているであろう顔を、トンマンはニヤリと下から見上げてやった。

「思ったより硬いが、まぁ寝心地は悪くない」
「……この『枕』がですか?」
「ふふ、使えるものは何でも使えと、お前もよく言うではないか」

 身を捩った拍子に解けた髪をピダムが梳いてやると、掌の下で気持ちよさそうにトンマンが微笑む。

「ですが、次は膝ではなく、私の腕をお使い下さい」
「……ん、この契約が纏まったら、な……」

 すでに夢見心地のトンマンは知らない。その一言で、この商談はすでに勝ったも当然だということを。


▼寂しそうに見えたら、あなたの愛情が不足しているかもしれません。その時は抱きしめて安心させてあげましょう。

「あともう一回、……だめ? トンマン……」

 火照ったトンマンの腕に、するりと入り込んだ夜風が触れた。その心地よい冷気のように、持ち上げた掌で彼の熱も冷ませないだろうか。
 その切なる願いを受け取ったのか、頬を包んだトンマンの指にピダムのそれが、静かに柔らかく重ねられる。蕩けるほどの熱を分け合った彼は、初心な少年のように、はにかみむような微笑を浮かべた。

「トンマン…、……愛してる。……トンマン--」

 --え、また始めからですか?
 再三降ってくる口付けと押し当てられる熱に、もうトンマンは「待った」を掛ける余裕も余力もない。
 既に何度目かなども追えなくなった思考の渦の中、愛を求める獣に揺さぶられ、トンマンは再び小さく喘ぎ続けるのであった。

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