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愛さえあれば~第二話です。またもや豆芝トンピですよー。
「ピダムっ!!」
「あぁ、おかえり…?」
 
 いつもはピダムの顔を見るなり飛び込んでくるトンマンであったが、何故か今日は「しゃがんで!」と八の字の眉で訴えってきた。
 訝しげながらも容易いお願いに、ピダムは二つ返事で膝を着いてやれば--。

「と、トンマン?」
「動いちゃダメ!」

 小さな手に、後ろからぎゅーーーっと抱きしめられてしまった。
 第三者から見れば、可愛らしい『おんぶお化け』が張り付いた図である。それはそれで、トンマンの容姿も手伝って、大変微笑ましい光景であったのだが。

「……センセイみたいに、うまくできない」

 少しだけ湿りを含んだ声に、一刻も早くトンマンの憂いを払うべく、ピダムはそっと背後を伺う。そして蹲った、美しい光の円を描く小さな頭を優しく撫でれば、トンマンは漸く顔を上げてくれた。

「学校で、何かあった?」
「……あのね、知ってた? きどうってところに食べ物がつまちゃうと、息ができなくなっちゃうんだって!!」
「あぁ、うん」

 きどう、とは気道のことだろう。もうそんな難しい言葉を教わるのか、とピダムは十数年前とを思い比べた。

「でもね! 『ふくぶつきあげほう』をすると、のどからつまった物が出てくるんだって!!」

 ぱっと輝いた顔に嬉しくなったピダムが同じく微笑を返しつつも、内心首を捻らずにはいられない。教師はこの幼子たちに一体何を教えているのだろうか。
 ピダムは授業内容がかなり気になったが、今はトンマンの訴えを理解する方が重要である。

「……ね、だいじょうぶ? ちゃんとできてる? 母さんやピダムが息できなくなっても、わたしがちゃんと助けてあげられる?」
「当たり前だろ? トンマンがやってくれたら、絶対に大丈夫だ」
 
 母親と同様に慕ってくれる心が、ピダムは何よりも嬉しかった。
 見返りなどを求めない、期待すらしない。その純粋な眼差しを向けられるのは、なんだか気恥ずかしくもある。だがそれ以上にこの少女の存在は、彼の心を甘く蕩かせるのだ。

 では改めてとばかりにピダムが諸手を広げると、トンマンもまた、くしゃくちゃの満面の笑みで応える。

「トンマ--「あぁ、お帰りトンマン! お腹空いただろ? カレーあるよー!」
「えっ、カターンおじさんのカレー!?」

 あっさりと立ち上がった跳ねる肩は、これまたピダムの余韻などお構いなしに「カレーぇ♪ カレーぇっ♪」と口ずさんでいる。
 ピダムは動揺をなんとか内に収め、「カターン……。何故貴様はあと5秒すら待てないのか?」と、邪魔者への敵意が殺意に変わらないよう懸命に努めた。


愛さえあれば年の差なんて 第二話  end.
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