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初めて書かせて頂きました、現代設定での二次作文です。

うーん、遅筆がこれほど恨めしいとは……!
書きたいことはめっさあるのに、感情を言葉に置き換える作業は本当に難しいですね。
文章も下手だし語彙も少ないしで毎回凹みます。ラノベすら直ぐに根を上げる体たらくですが、今度気合を入れて図書館にでも行こうと思います。頑張ります!


「お前は腹芸の一つもできぬ間抜けなのですか? そのような無様な顔はお捨てなさい」 

 片眉だけを上げ不敵に笑みを乗せる、嫌でも見慣れた仕草であった。
 ピダム自身覚えのあるそれに、「流石に血は争えませんな」とおべっかを含んだ爺共の揶揄が脳内で再生され、彼のの機嫌は降下する一方だ。
 吐きそうになった溜息を飲み込み無言で立ち上がれば、もう興味をなくしたのか、今日を以って肩書きを変えた女は何も言わなかった。

***
 
 騒ぎ立てるしか能のない役員共を丸め込み、件の「会長様」から公司譲渡誓約書を捥ぎ取ることで、なんとか海千山千の狸爺共々の片膝を折らせた。
 思い起こせばあの日、ただ血族だという盾だけを持ち、彼女はここに現れた。ピダムの顔すら知らないのであろう無謀さで「奪われたものを取り返しに来た」と、堂々と胸を張った。ただその身一つだけを持って。
 すべてはこの日の為。ピダムが唯一、主だと認めた彼女をこの場に据える為に、ただひたすら徒労してきたのだ。 
 --だが、その努力を嘲笑うかの様なこの状況はいったい何なのだ。

「私はまだ未熟です。諸先輩方のお力添えを頂かなくては、一人で立つことすらできません」

 就任スピーチに画面が切り替わると、途端にピダムの周りに花が舞い踊る。
 「何度観ても俺のトンマンは可愛い」と脂下がっていた眦が次の瞬間、剣呑に双眸に変貌を遂げる。その射抜かんばかりに向けられた先には、大学のキャンバス内で談笑する男女が映されていた。

 ピダムにとっての第一の誤算は、この堅物実直馬鹿キム・ユシンである。
 この男はトンマン恋しさに飛び級を繰り返し、たいそうご立派な肩書きと由緒正しい血筋まで掲げ、無論人材など募集していないこの中途半端な時期にも拘わらず、エントリーシートを寄越してきやがったのだ。
 当然優秀な人材であればどんな時期であろうと逃したくない人事部だったのだが、ピダムの実力行使も厭わない根回しに恐怖を感じ、見ない振りを決め込もうとしたのだが。

「あら、楽しめそうな子ね」

 その一言で、あっさり内定が確定したのである。
 嫌な予感とは当たるもので、そのユシンを追って来たという意味のわからないウォルヤとか云う男が増え、更に彼を慕う同族一門が続々と押し寄せてきた。無論ピダムは実のあるところを傘下に吸収させ、用が済めば即刻本社から叩き出した。

「母から言付かって来たのですが、叔母には会えますでしょうか?」
 
 そして身内だからだとノーマークに置いたピダムの第二の誤算が、このキム・チュンチュであった。このお子様は、ここぞとばかりにトンマンとのチャンスを潰してくるのである。
 遅くなったからとピダムが車を廻し、僅かながらも恋人の顔に戻ったトンマンとの二人きりの空間に浸ろうとすれば、『塾帰りだから拾ってくれ』とメールが入る。では食事でもとさり気無さを装って誘えば、『今日は夫婦で出掛けるそうだから、チュンチュも一緒でもよかったら』とやんわり断りを入れられる。
 ピダムの中でチュンチュが糞餓鬼も同然の扱いに変わるのは、たいして時間は掛からなかった。
 おまけに将来の夢はトンマンの後継者だとピダムの前で堂々と宣言したのである。甥の応援に涙を浮かべて歓迎したトンマンの横で、チュンチュは多くを含んだ笑みをピダムに寄越して見せたのだった。


 --多い。多過ぎる。
 ピダムは痛み出した米神を押さえると、目を閉じ苛立ちを吐き出すように息を吐いた。

「頭痛がするのか、ピダム。薬を用意させようか?」
 
 未だに就職活動中の学生にしか見えないトンマンであったが、少しずつ取り巻く威厳が彼女を包み始めている。ピダムはそんなトンマンの、自分にしか見せない隙が堪らなく愛しかった。

「お帰りなさいませ、社長。……いえ、大丈夫です。お疲れなのはあなたの方ではありませんか?」
「あぁ、まったくだ。マスコミ対応がこんなに気疲れするとは思わなかった。商談の方がよっぽどマシだ」

 「ただいま、ピダム」その後にも「あーもう帰りたい」と、くすりと冗談めかしにトンマンが笑えば、ピダムの鬱屈など一瞬で消え失せてしまう。
 ピダムが知らず零れた笑みで「頼もしくなりましたね」と返せば、「まぁな、お前のお陰だ」と期待したとおりの柔らかな笑みがトンマンの頬を愛らしく彩った。

「先に取材された内容を確認したい。準備はできてるだろうな」
「ご用意はできていますが……。別に何をどう書かれようと、構わないではありませんか」
「口述と記述ではニュアンスの違いが出てくる。私をそんなに自信過剰な経営者にしたいのか?」
「はい、そうです。宜しいですか? 過剰と思えてもいいくらい、御自身に自信を持たれて下さい。あなたは、我が社の自慢の社長ですよ」

 トンマンは詰まりながらも「その、ありがとう」と、そっぽを向いて顔を伏せた。
 頬どころか耳まで淡く染めた華奢な肢体を抱き締めたい衝動がピダムの指を動かす。だが「先に会長に挨拶してくる!」と慌てて駆け出した背を、今はそっと見送るに留まった。

 俺だけの、可愛いかわいいトンマン。ピダムは彼女への愛しさを舌の上で転がした。そして決意を新たにする。--絶対、奴等全員地の果てにでも飛ばしてやる! 
 ピダムは据わった眸で、上げた口端の片方をより一層深めてみせた。


彼女の隣は供給過多 end.
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