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椎/名/林檎[闇/に降る/雨]に思う、ピダムの愛し方とはどんなものだったのかなーと妄想してみました。

「貴方を知る尽くすことが譬え、可能だろうが不可能だろうが……、満たされる日が来る筈もない。身体が生きてる限り側に置いていて」
→一貫したピダムの意思

「貴方に降り注ぐものが譬え、雨だろうが運命(さだめ)だろうが、許すことなど出来る訳ない。この手で必ず守る。側に……、側に置いていて」
→伝えられなかった言葉を胸に、トンマンの元へと向かうピダム

後者だったならどんな状況だと萌えるかなーと、まぁた書いてる途中なのに妄想が止まりませんでした。
7月30日に書かせて頂きました「夏の記憶」の二人です。あれです、都会っ子ピダムと田舎育ちトンマンです。

で、ですね、折角の素晴らしいドラマ設定を生かすべく、「王室が現代まで続いていたら」という「宮」の設定をお借りしています。前回に引き続き、もの凄く意味不明だと思われます(汗
そして暗いです!こんなのばっかでホントすいませんー(><)


 柄にもないと、我ながらはにかみつつも、ピダムは急く足を止められない。
 連絡一つ入れなかったこの突然の訪問に、彼女はどんな反応をするだろうか。ピダムの脳内では、幾つものトンマンが次々に浮かぶ。
 きっと「来るなら前もって言え!」と怒って……。だがきっとすぐに、あの笑顔を見せてくれるに違いない。

 見慣れた門構えに、ピダムは嬉しさを堪え切れず破顔した。乱れた息を整える間もなく、彼は勢いそのままに、また一歩踏み出そうとした--が、明らかな異変がそこにはあった。

 スーツ姿の男たちが一定の距離で辺りをそれとなく窺い、少し離れた場所には、この田舎では悪目立ち過ぎる黒塗りの車が鎮座している。
 一体何が起こっているのだろうか。ピダムの足を止めるには十分過ぎるほどの、異様な光景であった。

「--では、どうぞこちらへ」
「……はい。わかりました」
「トンマンっ!!」

 思わず駆け寄ろうとしたピダムに合わせ、男たちから発する威圧感と警戒心が増した。細い四肢がその厳つい男たちの包囲網を抜け出ると、「インミョン様、」と顰めた声がピダムにも届いた。

「……あなた方は、控えていて下さい」
「しかし…!」
「私の言葉が、受け入れられないのですか?」

 そしてピダムがあっけに取られている間に、いつもの見慣れた夏が戻ってきた。
 一番大切な彼女だけを、置き去りにして。

「あっ、あー…、久し振りだな、トンマン! ってかさ、その服どうしたんだよ? そんなヒラヒラしたヤツなんて、小母さんが買ってきても絶対着なかったじゃないか!」

 肩に掛かる重苦しい威圧感と、場を支配する不安めいた緊張感を跳ね除けたくて、ピダムはいつもの軽口の語尾を強めた。だが、一切の感情を失くしたかのようなトンマンからは何も応えがなく、ますますピダムは焦燥感に駆られる。
 
「そ、それにさ、頭もすげー何か、キラキラしてて--」
「……ピダム」
「なにっ!?」

 やっと己を見たトンマンの双眸は、まるで出口の見えない洞窟のように闇しかなかった。ぞくりと、冷えた手がピダムの心臓を掴んだ。

「もう、『トンマン』はいない」

 お前の声ならば、どんな言葉でも受け入れてやる。……けれど、そんな声を聞きたかったんじゃない。

「『トンマン』は、始めからいなかった」

 どうして俺を見ない。お前はいつだって、真っ直ぐな瞳を向けて話をするのに。

「お前とは、二度と会わない」
 
 なぁ、俺の目の前には確かにお前がいるのに、こんなこと許せるはずないだろう? 
 こんな別れ方をする為に、俺たちは出会ったんじゃないだろう!? 

 つい、とトンマンの視線がピダムから離れると、再びスーツの壁ができあがった。ピダムの声など存在しないかの如くに、彼女は前だけを向く。野太い腕に肩を拘束されるも、尚も叫ぶピダムの口元がそれに塞がれそうになる。

「止めろ! 彼に危害を加えるな!!」

 やっと振り返った双眸に、ピダムは今までと何一つ変わらない『トンマン』の欠片を見付けたかった。全部嘘なのだと、その真実を導く鍵を彼は必死で探した。

「行きましょう」

 終にピダムの視界から、トンマンは消されてしまった。
 空は抜けるほど青く、遠くには真白い入道雲が風に吹かれ、蝉の合唱は更に声高に主張する。
 --夏だ。あの日から見てきた、同じ十年目の夏だ。

「……安心しろ。俺が必ず、お前を『トンマン』に戻してやる」

 瞬きの間だけ繋がった彼女の眸は、泣きそうなほどに歪んで見えた。


あの夏は掌の中  end.
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