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すっ、ごいです。
凄い嬉しい拍手コメントを頂いちゃいましたー!!!

嬉しいコメントを前回と続けて頂戴致しました。
それにそれに、とっても嬉しいお言葉まで……っ!!
トンピダを愛する方の懐の広さに感謝感謝です!本当にありがとうございます!!


そりゃ妄想も弾けるよね!ってことで勢いに任せて作ってしまいましたが、……ううーん、苦手な方もいらっしゃるのではないかと思います。
いつものにゃんこピダムなのですが、擬人化(ネタばれ)しております。

パスを付けようかとも悩んだのですが、そうすると↑この文章まで隠しになってしまうので(><)
いつもとはちょっと違うにゃんこですが、それでも宜しければ……。


「37度7分、…か」

 道理で節々が痛くて、眩暈がするはずだ。
 
「体力には自信があったのに。……情けない」

 締切に追われたデスクワークと数日間の徹夜は、予想外に身体に無理を強いていたらしい。
 思わず吐いた溜息は湿った熱を帯びていて、完治の道のりを思うと気が重くなりそうだ。

 シーツは己以外の熱を伝えない。安心する温もりを、空を切った右手は無意識に求めていた。

(……ピダムは、ちゃんと眠っているだろうか)
 
 最後まで、いつものように傍を離れようとしなかった、可愛い黒猫を思い出す。
 まるで「風邪だからこそ添い寝してやる!」とでも言いたげに、珍しく胸に爪を立てられ、離しても離しても張り付かれた。
 しかし人の病は移るのだ。この小さな身体に、こんな苦しい思いをさせたくはない。
 そうこうしている内に咳き込んでしまったら、おずおずとだがピダムは力を抜いてくれた。
 
「すぐ元気になるから。そしたらまた傍にいてくれ、な? ピダム」

 見上げられたくるりとした眸は、何か言いたげに潤んでいた。


***

 --熱い。 とても熱い。
 だが熱いのに、冷たい手に背筋を撫でられる。

 抑えていた咳がまた出てきそうで、慌ててタオルで口元を塞ぐ。
 細く息を継ぎなんとかやり過ごすと咽喉が渇きを訴えたが、もう指一本すら動かす気になれない。

「……トンマン。お水、持ってきた。飲める?」

 心地よい声に、顔に掛かった髪を後ろへ流すように撫でられる。
 少し冷んやりとした指は、とても優しくて頬の熱を吸い取ってくれるようだ。
 
 きっとこれは夢だ。都合の良い夢。
 幼い頃の、優しい記憶。
 ……でも今だけは、今だけでも、その残滓に縋ってもいいだろうか。
 
 顎を引いてみる。
 ややすると、ガラスであろう硬い質感が、唇にやんわりと押し付けられた。

「……ん、…は、ぁ」

 注ぎ込まれる水をタイミングを合わせて飲み込むのは難しく、殆ど口端から零してしまった。
 起き上がることができれば良いのだが、生憎と目蓋ですら重くて持ち上げられない。

「…ごめ、…なさ」

 あぁ、本当に情けない。
 この年齢にもなって体調管理一つできない自分が、大好きな人に心配ばかり掛けてしまう自分が、心底情けなく思えた。

「泣かないで、トンマン……」

 今度は何だろう。少しだけまた冷んやりとして、それでいて柔らかいものが唇に触れてきた。
 そうして乾いた舌を、咽喉を、解き解すかのように、少しずつ水が流れ込んでくる。

「…んっ、……ふぁ」

 触れて離れて、また触れて。
 次第に咽喉の痛みも収まってきたような気もするから、不思議だ。

「大丈夫、明日には良くなってるよ。心配しないで。……おやすみ、トンマン」

 頬に触れる柔らかい吐息
 額を撫でられる優しい指
 背中に回された熱い腕 
 引き寄せられ、隙間なく包まれた身体

 --一人で生きてゆくと、決めたのに。

 嬉しかった。
 与えられる温もりが、泣き喚きたいほど、嬉しかった。

「あ、…が、と。……かぁ、…さん」

 闇が目隠しする視界で、それでも柔らかく細められた双眸を捉える。
 ……けれどそれは、記憶にあるどの眼差しとも一致しなかった。


***

 濾過された朝陽の中で、閉じた目蓋をもう一度開けてみる。
 右手を翳し、力を込める。
 身体のどこからも、痛みは失せていた。
 それは大変喜ばしいことだ。回復力はまだまだ衰えていないらしい。
 
 けれど、この気持ちは何だろうと首を捻った。
 
 ワクワクするような、ドキドキするような。
 ……とても嬉しいことが、あったような気がする。
 何だろう、もう逢えない大切な人に逢ったような。いや、それ以外にも、何か、あったような……。

 カリ、カリカリ、
 ……カリカリカリカリ!

「おはよう、ピダム。昨日はちゃんと眠れたか?」

 ちらりと確認したドアは、見るも無残に爪跡だらけになっている。
 開けた途端、膝立ちした胸目掛けて飛び付いて来たピダムに、またびたりと張り付かれてしまった。
 
「もう大丈夫だ。お前にも心配を掛けてしまったな」

 にぁ、と短く応えてくれた咽喉元を擽ると、黒い前足によじ登られ、今にも触れんばかりに顔を近づけられた。

「ちゃんと、熱も下がったぞ」

 頬で小さな横顔を撫でてやると、唇にざらりとした感触が乗った。
 驚きで固まっている身体を尻目に、再びピダムに下唇を舐められてしまう。

「…っ、ピダム!」

 間近で見下ろしたくるりとした眸は、満足そうに潤んでいた。


君はまぼろし  end.
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