上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ドラマ設定って難しいですねー。
ラストシーンまで決まってるのに、呼称とか言い回しとか細かいところで躓く躓く。
いつも萌えを下さる管理人様、本当にありがとうございます!

自分にできることをできるだけ、ってことで、素麺企画(え 第二弾でございます。
アルチョンを出せましたので、とっても満足ですv


「すまないピダム。お前のこと嫌いになったんじゃない。……アルチョンばかり構ってたのは、その、お前に妬いて欲しかったからだ」

 切ないまでに揺れる眼差しが、希った細い指が、己の頬へ近づく。

「私は、お前が好きだ」
 
 閉じた双眸はそれでも緩く撓み、口元と同じく優しい曲線を描いている。
 ---彼女を形作るすべてが、愛しかった。


***

「……猫も寝言を言うのだな。今まで気付かなかった」

 犬と同じく夢を見るんだな、と暢気に洗濯物を畳みつつ続けるトンマンに、アルチョンは無言で応じる。
 早い時間から不貞寝したかと思えば、「トンマン大好きだー!」と、リビングの中心で恥ずかしげもなく主への愛を声高に叫んでいるではないか。
 ちらりと見遣れば、本当に眠っているのかと疑いたくなるほど、黒毛は脂下がっていた。

「じゃぁ、そろそろ私たちも休むか」

 では、と隅に置かれた定位置の籠まで行こうとする身体が、ひょいと宙に浮く。

「もうだいぶ家には慣れたか? 姉さんが帰ってくるまで、まだ暫くあるしな。ピダムがいるから、遊び相手には困らないと思うが……」

---いや、アレはあなたしか見ていない。故に始めからその選択肢はない。

 アルチョンはトンマンの問い掛けに、またも無言で応じた。

 ……ピダムという輩は、現在も進行中で怨念の篭った眸を向けてくる。

 そんなものは痛くも痒くもない。文句があるのはこちらも同じことだと、アルチョンは顔を歪めた。
 主に対する不敬の数々はチョンミョンが許したとて、彼にとっては到底見過ごせるものではない。未だ怒りは、沸々と湧き上がっているのだ。
 そんな男と友好的な関係など築けるはずなかろうし、更々結ぶ気すら起こせるはずもない。
 
 アルチョンはここ数日を、半目で反芻してみた。
 
 そもそもあの無礼者は、己を「間男・邪魔者・悪の傀儡」として確定済みらしく、到着した瞬間から殺気を向けられ、威嚇される始末である。
 まぁここでもひと悶着起きたのだが、このどこまでも自己中心的な輩の所為で、この状況を飲み込もうと努力していた自分に馬鹿馬鹿しさすら感じた。
 当然、不承不承に考えていた文言も塵になり、アルチョンは生まれて初めて言葉が通じない仲間がいることを知り、同族ながら「猫も歯軋りできるのだな」という素朴な感想を持った。
 

「じゃ、アルチョン。今日は一緒に寝ようか」
「はぁっ!?」
「まぁまぁ、そう逃げなくてもいいじゃないか。いつもはピダムと一緒なのだが、今日はあのまま寝かせてやりたいしな。……傍に寝息がないと、なんだか落ち着かないんだ」

 ピダムが聞けば、「それは俺だからだよね、俺が傍にいるから安心して眠れるってことだよね!!」と、それこそ身悶えしそうな科白だが、生憎彼は夢の中だ。……まぁ、夢の中でも十分幸せそうだが。 

 状況を分析している場合ではないとアルチョンは我にかえった。
 いやいやいや、それは謹んで辞する意思を示さなくては!!

 必死にトンマンの腕の中から抜け出そうとするも、一声「暴れるな」と命じられてしまった。

「……ふふ、姉さんの言ったとおり、本当にお前は賢いな。聞き分けも良いし、一度教えたことはすぐに覚える。姉さんご自慢のアルチョンと一緒に暮らせるとは、私はとても運がいい」

 アルチョンが見上げた先には、主と同じ円やかな優しい顔があった。

「なぁアルチョン。案ずるな、私はお前の主になろうと思ってはいないよ」

 喉元を撫でる指は、主と同じ柔らかさだった。

「姉さんの家族の一員は、無論私にとっても大切な存在だ。僅かな間だが、ここがお前の居場所だと思って寛いでくれ。遠慮なんかしなくていいんだぞ? 明日もいっぱい遊ぼうな、アルチョン」

 背中を撫でられ引き寄せられる。何の匂いだろう、優しく鼻を擽った。
 アルチョンはそろそろと腕を抜け出し、初めて"家族"と名乗り出た顔を見下ろす。

 そうすれば、じわりじわりと封じ込めていたはずの感情が溢れ出してきた。

 ---ずっと一緒だと思っていました
 どうして置いて行ってしまったのです
 私は、邪魔にしかならないのですか
 ……私には、チョンミョン様の傍に居る資格がないのですか

(寂しかったんだ、私は……)

 だが主と別れてこの数日、ゆっくりと鑑みる暇などないほどに、アルチョンを取り巻く環境は目まぐるしい変化を迎えた。

 寂しさを寂しさとして胸にしまっておけ、とこの口は言った。
 それは消さなくても良い感情だと、だからこそ再会の日に、成長した姿を見せてやろうと思えるのだと。

 間近で見上げた双眸から、アルチョンは何故か目が逸らせなかった。


「…ん、」

 無意識だろうか、もう一度最初の体勢に戻されてしまった。
 懐かしくも感じる匂いと温もりに、優しく包まれる。とろとろと思考が綯交ぜになってゆきそうになり、アルチョンはぱちぱちと目を瞬かせた。

 ---二心ではなく"敬愛する主"として、この人間を受け入れても良いのだろうか。

「んー…、よしよし」

 ……考えなくては、いけないのに。
 瞬きの度に重くなる目蓋に逆らえず、アルチョンの身体からゆっくりと力が抜けていった。


君は家族  end.


***
そして翌朝、飛び込んできた殺気で起こされますww
関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://migime1818.blog24.fc2.com/tb.php/44-51a4d1ac
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。