上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ハロウィンですね!
って、ちょっとお久しぶりの更新ですね。すみません。
ようやく体調も戻ってまいりまして、急遽ですが作ったネタを投下しちゃいます。

今回の設定は「隣のうちのピダムくん」です。
無理やりイベントとからめてみましたv


mオンニさん、楽しいお手紙をいつもありがとうございますv
お返事は明日させて頂きますね(〃ω〃)



「Tri--」

トンマンはみなまで言わさず、自室の扉をバタンと閉めた。

「こらーっ、ピダムが来てあげたのにー!」

冷静に鍵を掛け、トンマンは冷めてしまわぬ内にと紅茶に手を付ける。
ひと息吐いたところで、サンタクに「頃合いを見て帰らせる」とメールを打つ。
只今30日の21時過ぎ。
ミシル夫人主催の慈善仮装パーティー(子供の部)とやらを終え、勝手に抜け出してきたに違いない。
このワガママ坊ちゃんのお付きも大変だと、彼のあのいつも下がった眉を思い出し、トンマンは同情を深めた。
--と、案の定な返信が、即帰ってきた。
くぐもった「あけろー!」が「あけてー」と為るまでは、トンマンはこのまま放置しようと決めた。

***

今日の行動で何が悪かったのかを理解したらしく、ピダムは打って変わったようにおとなしくなった。端的に言えばしょげたのだ。
トンマンはソファに座る柔らかい前髪を撫で、

「私だって、ピダムに早く会いたかった」
「う、うん、おれも会いたかった」

笑えば、ようやく笑ってくれた。
多少面倒くさいが、そこが可愛いところだとトンマンは頷く。

「あっ、トンマン。Trick or Treat!」

無駄に良い発音である。
そういえばとトンマンは気づいた。ピダムは最初にそんなことを言っていたような気がした。
もちろん本番は明日なのだが、そこはトンマン。念の為にと月曜から準備していた紙袋を取り出した。

「トンマン、おれこれ知ってる。××店のおかしだ」
「うん、好きでしょ?」
「ちがう。おれが欲しいのは、こんなのじゃない」
「じゃ、どんなのが欲しいの?」
「おれは、トンマンが作ったものがほしい。トンマンが作ったものじゃなかったら、おれはいらない」

真っ直ぐに見上げる真摯な眼差し。その双眸の奥には、美しく揺れる光が輝く。
トンマンはその熱視線を受け止め、

「……えー、面倒くさい」
「なんでー!?」

とぽそりと漏らした。
トンマンは天を仰ぎながら席を立つ。きっとあの(自称)"恋愛マスター"とやらが絡んでいるに違いないと睨んだ。そういえばパーティーなのだ。若い奥さま方も参加する集いに、あのおじさまが居ない訳はない。

「ピダム。ほら、口開けて」
「ん、むーっ」

ピダムの口に放り込んだのは、オートミール素地のシリアルバーだ。そんなに甘くしてないが、正真正銘のトンマン作である。
甘党なピダムのお子様舌には美味いものではないはずなのに、まんまるほっぺは至極満足そうに咀嚼していた。

「今日ね、おれ、学校でもおうちでもいっぱいおかしもらったんだ」
「うん」
「でもね、今たべたのがいちばんすき!」
「そっか」
「トンマンのバカー!」

相槌を打ったら、この反応である。
反論しようとしたら、「もっと、おとこごころをりかいしろー!」「トンマンのわかやずやー!」と被せられた。
10歳にも満たない男児の「男心」って、いったい……。
自己主張を続けるピダムの隣で、トンマンは首を傾げるしかなかった。
少なくともトンマンがピダムと同じ歳の頃は、こんなことを言う同級生はいなかった。……今どきのお子様はわからない。

「……ところでピダム、ずっと気になってたんだけど、その衣装は……」
「ヴァンパイア。カッコいいでしょ。しょじょのちをわがものにするって!」

色々とツッコまなければいけない単語が並んだが、いまいち細部まで理解していないであろうということは、ピダムの雰囲気から伝わった。

「……そうなんだ」
「うん!」

切り替えが早いことと、立ち直りが早いことはピダムの長所だ。
お披露目会よろしく、立ち上がったピダムがくるりと回ってみせると黒衣のマントがふわりと広がった。
「あ、裏地は赤なんだ……」と、トンマンが興味深げに覗き込んでいることで、何らかの溜飲は下がったらしい。

「トンマン、手をだして」
「……? はい」

何か渡すものでもあるのかと、トンマンは手のひらを上にしてピダムへ向けた。
どこか改まった様子で、座ったままのトンマンと向かい合わせに立つピダム。
彼はおもむろに片膝を付いた。差し出された手を恭しく裏返される。ピダムの手は熱いほどだった。
そして自身の右手で支えるように、トンマンの指先に添えてみせたのだった。

「おれの手はまだ小さくてたよりないけど、必ずトンマンが安心してゆだねてくれるおとこになる。ぜったいに、なるから。……トンマン、だいすきだよ」
「……っ」

トンマンが声を上げてしまったのは、手の甲に落とされた唇の所為だった、白い肌に浮かび上がった赤は、自己主張するように浮かび上がっている。
これだけのことをしておきながら、ピダムはあっさり「じゃ、また明日ー」と颯爽と出て行った。

「……本当に、今の子はわからないわ……」

そう、相手はまだ子供だ。子供なのに、いや子供なのか……? あれは……。
トンマンは火照った頬で、冷めきった紅茶を飲み干した。


【小さく芽生えたその一葉は、実りの秋を迎えるか】





少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
「トリックオアトリート!」
30074.jpg
こんな格好なら、大人ピダムも似合いそうですね。
探してみたら、売ってましたw


関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://migime1818.blog24.fc2.com/tb.php/302-7fc4f8d1
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。