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2013.09.29 咫尺千里
私の場合、文章が浮かんでくるのは、なんとなく朝が多い気がします。
でもかといって休みの日はどうかというと、ひたすらぼーっとしてるんですよね。
現実逃避乙!とか自分でツッコんでみました。

あの加筆修正してるブツは一応最後まで書けたのですが、このままUPするにはちょっと……引っ掛かるところがあってまた書き直したりしてます。
すみません、お待たせしております。待っててくださる方、いつもありがとうございますv

でもって今回は、別離の間のピダムの独白です。あ、豆トンです。短いです。




地上から遠く離れれば、その分空に近いと思ったのだが。

「遠い、な……」

並び立つビルの中でも一段頭を突き抜けて建つその最上階で、男は独りごちた。
高く澄む秋の黄昏時--頭上には、胸の奥へと沁みるような茜の空。

彼の人は目を細める。
刹那に表情を変えるその様は、幼い頃からずっと見てきたあの子に似ている。
知らず視線を吸い寄せられ、追い掛けてしまう美しい光と影。

彼の人は目を閉じた。
それでも光は、あざやかな色で網膜を灼くのだろう。
そうだとわかっていても、彼はそうすることしかできなかった。
--この身の中には、鋭い牙を持つ獣がいる。
彼女の傍に居てはいけないと思い知らされたあの日。
過去を振り返りそして選んだ果てを手にしても、横顔に付き纏う深い陰。

(俺はもう、とっくに狂っちまってるのかもな……)

けれども愛しい光が引き金となってピダムへと与える衝動は、同じく愛しい影によって引き止められるのだ。
感情の侭に唇を噛み締める涙。
不安そうに見上げる眼差し。
喜びの色に輝く大きな瞳。
あの子からあふれる光が眩しく、隠そうとするその影までをも認めたかった。
虚勢を張る小さな背は冷たくて、躊躇なく伸ばされた手はあたたかくて、真っ直ぐな物言いはときに乱暴で、頬に触れる手はいつだってやさしい。
そんなあの子のすべてが、その彼女のすべてを--

「……してる」

伝えられないであろう想い。
けれど一つだけ、一つだけ願いが叶うならば……。

ピダムは組んだ両手を、己の額に押し付ける。

こんな自分を決して許さないでいて欲しい。
身勝手な俺を、一生憎んでいてくれないか。
なぁ。--なぁ、

「トンマナ……」

どんな形でも忘れられたくないのだと、ピダムは閉じていた目蓋をゆうるりと上げた。
久遠の空のやわらかな闇の裳裾から、茜色が眩い程の残照を放っていた。


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