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2013.09.18 落日
お返事を書かせて貰おうとしたのですが、まだ、頭の中のどこかが止まってしまっているようです。
げんさん、お気遣いくださりありがとうございました。

前回下げたお話、もう少しお時間が掛かりそうです。
待っててくださる方がいることは、とっても嬉しくて、だからこそ申し訳なく思います。

続きからはドラマ設定、最終話のお話です。
身勝手にも、あきさんを想いながら書きました。
でも、今の自分の為に書いたとも思います。



声にならない幽かな声が、トンマンの耳に木霊した。

高く昇った陽は女王を覆い、付き添う影を遠くに追い遣っている。その眩い白に双眸を差さるるも、それでも彼女は外界を身の内に置いた。
乱は、終結を迎えた。
三日三晩という眠りの刻中でも、トンマンは一つのことを考え続けていた。
設えられた花たちへ、薄桃色の爪先を伸ばす。
黄を濃くしたやさしい色は、あの花によく似ていた。



--はぁ? あの鳥を捕えたくて、ここでじっとしてるのか? あーもう、なにやってんだよ。そんなんで中たる訳ないって。矢なんかより石コロで十分っての。ヤツの動きを読んで……、ほら、な? 簡単だろっ…て、ちょ、どこ行くんだよトンマン。なー、なんで怒ってんだよ。あの鳥要らないのか? なぁってば、トンマンー?


--子供の頃のことです。私があまりに見詰めていた所為か、師匠が買い与えてくれたのです。その菓子の呼び名はわかりませんが、とても甘く、口の中で溶けてゆきました。今まで食べたことのない味に、私は夢中でほうばったものです。翌日もまた欲しいとねだり、師匠は腹を壊すと窘めらたほどでした。公主さまも絶対にお気に召す筈ですよ。もちろんです。次は、必ず公主さまに差し上げます。ご一緒にですか。本当ですか? ……はい、公主さま。約束ですよ。


--別名、秋陽山と呼ばれています。高さはそうありません。朱い葉が空に棚引く様が秋の夕暮れのようだと、この通称で呼ばれるようになったそうです。はい、仰るとおりです、陛下。今は他の葉と変わらぬ色をしておりますが、秋が巡ればこの葉が朱く色づくそうです。まさか陛下はよもや、私が否やと応えるとお思いですか? 次の行幸には必ずやピダムが、朱く染まる山をご覧に入れて差し上げます。……陛下、私が何か可笑しなことを申し上げましたか? 何故お笑いになるのです。


先へ、その先へと手を伸ばしながら生きていた。
トンマンにとって季節は『時節』でしかなく、民の為、神国の為、大業の為の巡り往く刻だった。
ピダムの指先で、トンマンは季節を知った。
花の名を知り、高鳴る胸を知った。
孤独を知り、哀しみを知り、そして愛を知った。

「何故--、そのようなことを」

トンマンが呟いた「荒涼」との言葉に相応しい風が、側に立つユシンの戸惑いをさらってゆく。
降り注ぐ陽光は山々の頂きからトンマンを、ユシンを、大地を白く輝かせる。
遥か遠くを映すその眦が、問いへの応えだった。


--はい、陛下。夕日が沈んでも、空にはまだ色が残っています。仰るとおり、神国の民は空を読むことを覚えてゆくでしょう。これもすべて--陛下、その草に近づいてはなりません。茎に棘があるのです。御存知ですか?  茜色はこの草から由来しているのです。はい、染料として用いられる草です。えぇ、花も小さく赤くはありません。はい、陛下。ご明察恐れ入ります。赤い根であることから付けられたのです。このアカネのみを用いた衣は浅緋、アカネに紅花を重ねて染めたものが紅緋。陛下がお召になられているこの色が--お気になさらずとも、陛下、私の指はなんともありません。このピダムをみくびられては困ります。あんなやわな棘一つ刺さろうが、私の手を破ることはできません。……お待ちください、陛下。指がこんなに冷たいではありませんか。秋口とはいえ寒くないなどと、どうして意地を張るのです。無理はしないと仰ったではありませんか。

トンマンの双眸に在る、高く澄んだ空が滲んでゆく。
あぁ、そうだな。ピダム。だが太陽が去ればどれ程冷たい風が吹き抜けるか、お前は知らないだろう。

出逢い、
視線を交え、
言葉を交わし、
想いを交わし、
心を繋げ、
共に在り、
共に在り続けたいと願った。

トンマンは肩の荷を預けるように、椅子の背に躯を預けた。
ゆうるりと目蓋を閉じれば、眠りを覚ました微かな声が再び木霊した。
トンマンは小さく笑った。
今度ははっきりとその声の主と、その言葉が聞き取れたのだ。

太陽に追い遣られた北風は、遠くに連なる木々たちを穏やかに揺らしている。
冬空を美しく染め上げた朱色は、その白い頬をやさしく撫ぜていった。

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ずっとこの曲を聞いていました。
まだどこか事実を受けとめられないのですが、振り返って、思い出して、この歌詞を追い掛けることで、あぁ、私は悲しくて寂しいんだなって、胸に空いたものを見詰めることができました。
ありがとうございます。あきさん。大好きです。


僕は偶然君に出逢って
ごく当たり前に慈しんで 夕日を迎えた
さあもう笑うよ


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