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2012.10.07 supernova
ウェブ拍手にですね、お礼SSをくっつけたかったんです。
次々と「おおうっ!Σ(゚∀゚*ノ)ノ」って展開する、りばさんとこやマイマイ様のようなウェブ拍手を作りたかったんですー!(><)うん、無謀なのはわかってる!

なんとかエラー表示から開放されたら、今度は一番肝心な画像がUPできないときたよこれ……。
せっかくりばさんに快いお返事貰えたのに……。(拍手ページにお迎えしたかったのに、すみません(ノД`)
げんさんに、遅くなりましたがお礼ページできましたー!ってご報告したかったのに……。
あわよくば、あきさんとmukugeさんに構ってもらえると思ったのに……。(超本音ww)

拍手は元に戻しました。あ、そこはどうでもいいですよね。
このお話は、『物憂げ豆トン』のイラストから妄想がひろがりました。
本筋ですが、IFものです。いつかやりたかった、トンマン記憶喪失ネタです。
時期的には、さぁ結婚も決まって蜜月までドキドキ☆カウントダウンって時を想定しました。

りばさんからドキドキしつつ頂いた、繊細で美しいイラストは私の宝物です。
今回こうして皆さまにご紹介できることを、とってもとっても嬉しく思いますvv





ここはどこだろう。
どうして私は、ここにいるんだろうか。

夕闇の部屋を割る、燃えるような朱。
窓を開ければ、ひんやりとした風に頬を撫でられた。

夜を急く深藍の空に、ぽつりぽつりと小さな明かりたちが寄り添うように灯り始めた。
あの光は今を生きる印、明日を夢見る証なのだろう。

眩しさに吸い寄せられる。
闇を照らす希望に触れたくて、できるだけ手を伸ばす。

私がいくら手を伸ばそうと、あの光には届かない。
わかってる。そんなことは、不可能だと知っている。
あの時も、そう思った。
手に届かないものを追い求めてどうするのって。
あなたは私に、その影さえ踏ませなかった。
そうして私の心までただの幻想に過ぎないんだと、諭すように優しく否定して。

--あの時って、いつ?


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「あぁ良かった、ここにいたのか」

近づく笑顔の、その輪郭が掴めない。
酷く歪む視界に目を凝らす。

(……あなたは、私の--)

刹那、記憶の欠片の糸がぷつりと切られた。
私の中の誰かが言った。

「あなたは、誰?」

途端に凍った笑顔に、どうしてだろう。私まで泣きたくなってしまった。
でも次の瞬間には、私を見る目にもう哀しみの色は無かった。

彼は「おいで、リビングに行こう」と、薄く微笑んだ。
私は何の疑問も感じず、高い背の後に続いた。



慣れた風にキッチンに向かった彼に飲み物を差し出され、私はそうすることが当たり前のように受け取ってしまった。
雪色のマグは、淡い桜色の小花たちが小さく縁取られている。
美しい器から、じんわりと伝わる熱が心地いい。
私の手の中で揺蕩うのは凛花茶だろうか、柔らかい好い匂いがする。

「熱いから、気を付けて」

向かい合うように座った彼に、ひとつ頷く。
生成りのソファーが静かに沈む。
考えなければならないことがある筈なのに、私は何をしているのだろう。
ひだまりを溜めた毛布の中で、ぼんやりと浅い夢を見ているようだ。

「ところで、どこか体調に変化を感じるか? 痛みは、違和感があったりしないか?」

心配気な声。
広げた手を見る。裏返して見ても、昨日と変わらない手だ。
視線を下げる。
この白のワンピースはお気に入りだった。
何年も前から愛用しているもので--

--あの日、

そうだ。あれは15の誕生日だった。
届けられたプレゼントが嬉しくて、
とっても嬉しくて
待ちきれなくて
早く見せたくて
「よく似合うよ」って、言って……

その笑顔が欲しかったのに、
あなたはもう、どこにもいなかった。


「……別に、平気で--」


平気じゃなかった。
平気な振りをしていただけだった。
泣いても誰かを責めても、無駄なのはわかっていた。
あなたは自分の意志で、去ってしまったのだから。

どうして? 
私が大人になればわかるの?
「大好き」って言う度に、あなたがどこか哀しそうな顔をする訳も、私が大人になればわかる? 
あなたが少しだけ寂しそうに「ありがとう」って微笑む理由も、私にはわからない。

いつから?
あなたは私に『大好き』を返してくれなくなった。
あなたのそんな顔は見たくない。

--ねぇ、なんて言ったら、あの頃みたいに笑ってくれる?

大好きだから、大好きだと伝えたかっただけなのに。
何も考えなくても、私はあなたと過ごすことが当たり前になっていた。

返事のない部屋
私を避ける瞳
微笑みさえも遠く

(私のことが嫌になった?)

そんなこと、訊ける筈ない。
私は、あなたの心が見えなくなってしまった。

『君の世界はとても広いんだよ、トンマン』


あなたが欠けたセカイが、わたしのホントウのセカイ?


「……平気、です」
「ごめんね、俺は平気じゃない」

いったいどういう意味だろう。
右手で顔を覆った彼の表情は見えない。
でも前髪から覗いた眦は、小さく光って……?

「俺はね……、君の意思に関係なく、君をこの部屋に閉じ込めてしまおうと考えている犯罪者だ。
鍵を幾つも掛けて一歩も外には出さない。……これからお前に触れる人間は俺だけ。お前と話すことができるのも俺だけだ。
あぁ、お前は当然抵抗するだろうから、身動きできないよう手足を縛るかもなぁ。 ……はは、我ながら、この結論しか出せない自分に呆れ果てる」

私は立ち上がった。
彼は話し続ける。
私を見ようとはしない。

「だから、今すぐ逃げるんだ。あぁ、違うな。俺がお前から離れないと--」

日に焼けた手に触れてみた。
爪が長くて、指も長い。大きな手。
でもそれは冷たくて、私の手に篭った熱を移すようにぎゅっと握ったら、とても驚いた顔をされた。

見詰めた瞳を覆う、幻夜の翳。
きっとそれは、あなたが私に見せたくなかったもの。
これは夢の続きじゃない。
喪失感だけが私の中にあった、あの朝でもない。

「大胆なことを考えてる犯罪者さんなのに、意外と純情なんだ」
「お前、俺の話を聞いてたのか?」
「うん。ね、知ってた? それにそんなことしようとする人は、わざわざ被害者に計画をバラさないし--」

褐色の頬を滑り落ちてゆく雫を拾うと、バツの悪い顔が逸らされた。

「話してる途中で、泣いたりもしないと思うよ」
「……あぁ、もう……」

彼のそのぐったりした姿態が面白くて、私はつい笑ってしまった。
そうしたら、閉じた目で彼も笑った。「まったく、お前は……」って、小さく呟いて。
それは私の中に欠けていた、探し求めていた何かに、とてもよく似ていて--

「あの、一つ質問してもいい? 答えによっては、すぐに出て行くから」

あ、しまった。あの笑顔が消えてしまった。
手も強張って、ちょっと冷たい。
それに少し、震えて……?
違う。……震えてるのは、私の方だ。

「--あなたと私が、同じ世界にいても、いなくても」

小さく私が映っている、くるりとした黒曜石の瞳を見上げる。
初めて見た時と同じ。柔らかくて、温かい色。
あぁ、やっぱりそうなんだ。
やっと、見つけた。

「ね、ピダム。私と一緒に生きてくれる?」


【supernova】

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