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前回ご案内した最後の歌で、妄想が形になりました。
61話、ヨムジョンの悪魔の囁きシーンでのピダムさんです。
いつもどおり好き勝手に妄想しちゃいました。
(↑ここまでが以前の記事部分です)

この作文、実は7月1日に書いたものだったのですが、にわかファンが見当違いも甚だしいとすぐ下げたのです。
しかし、りば様のお陰で(間違った見解かもしれないとの懸念を含んでいたとしても)これも一つの形として見て下さるとわかりました。

もの凄ーーく、嬉しいです。だってもう11月でしょ?本当にすぐ下げちゃったので、その僅かな間にご訪問頂いて、更にその間覚えていて下さっていたなんて!!
善徳を愛するりば様の懐の深さに、改めて感謝ですーvありがとうございましたーvv


 思考が麻痺している。
 
 否、目に焼き付いたものが意味する真実から逃れてしまいたいと、ピダムの心は声無き声を上げた。だが瞬きの度に、それは毒のようにピダムを侵食してゆく。
 
 この現実を否定する為の過去を、彼は必死に呼び戻す。
 トンマンが見せた眼差し、トンマンの声。
 その言葉もその吐息さえ、この手に触れた温もりまでも--ピダムの中で、今も変わらぬ輝きを放っている。

--それが、すべてまやかしだというのか……?

 ピダムは、入り込んできた闇を振り払うように首を振った。

(違う! 私は陛下を信じている!!)

 だからこそ、少しでもピダムは彼女の負担を減らしたかった。
 貴族共を掌握できずにいる、無様な己の所為で苦しむトンマンを少しでも楽にしてやりたかった。それだけ、それだけだったのだ。
 あの誓いの日から変わらず、ピダムは心の底からトンマンを信じている。

--だが、"王"たる彼女は、俺を信じているのか……?

 最後に放たれたチュンチュの言葉が聞こえてきそうで、ピダムは再び振り払うように首を振った。
 忌々しく震えるその右手で、ピダムは王であるトンマンが分けてくれた心を探し求める。


 揃いの指輪
 確かめられた意思
 ささくれた心までも包んでくれた、冷たくも柔らかな白い指


 その僅かな熱が冷めるのが惜しくて、離れたくなくて置いて行かれたくなくて、逸らされた双眸を向けて欲しくて……、ピダムはもう一度その手に縋った。
 だがその細い指は、まるでピダムを拒むかのように、彼の元に留まりはしなかった。

「…は、はは…っ!」
 
 すべての思惑が繋がってゆく。
 凍えた脳は正常に働き、ついに一つの結論を弾き出した。その答えは、思っていたよりもすんなりと心に染み込まれていった。

(そうだ。"私"が必要だと言ったのは、神国の未来の為)
(俺自身が必要だったんじゃ、ない)

 現"上大等"が抱えているすべてを切り捨てる為に必要だと、ここでその憂いを無くす為に必要だと。
 その陛下の、ひたすら神国のみを愛す王としての真意を、どうして見抜けなかったのだろう。
 
 暗澹な影が双眸に刺すと、荒れ狂っていたピダムの心は、不可思議にゆうるりと凪いていった。

--欲しいものはいつだって、この手をすり抜けていったではないか。

 不要になったと母に捨てられ、慈悲を知らぬと師に見放された。
 幼い頃から伸ばした手が掠めるのは、いつだって空ばかりだ。
 愛を乞うた誰もに捨てられ、あの日から愛を感じたことはなかった。
 
 けれど、けれどそうではないのだと信じてみたかったのだ。
 
 この世に生まれたのは、この胸が高まるのは、この鼓動が今も続く、その理由は--。

 
「…トン、マン……」


 万感の想いを、この魂までも唇に乗せて囁いても、この言葉は破滅を呼ぶだけだ。
 それと知っていて、--知っているが故にピダムは、奇妙に口端を歪めこの世で最も神聖な言葉を繰り返す。

(あなたが抱えるその重荷を、私が降ろして差し上げます)

 目を閉じた血塗れの横顔は、深い闇が持つ静寂の中で、穏やかに微笑んでいるかのようにも見えた。


月を遮る太陽  end.
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