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限定記事にしようと考えあぐねていたのですが、すっぱーーんと晒しちゃいます!
はい、かなり色々な悩みが解消されたような気がします。
すーさん様、緋翠様、本当にありがとうございましたーvv
(緋翠様には、後ほど鬱陶しいコメ返しをさせて頂きますねーv(笑)

あ、一応前置を……。あ、いいですか? いえあの、これだけは言わせて下さい(><)
トンピじゃないんです。正確には、トンピだけじゃないんです。
アルチョンがいます。敬愛モードながらも、VS風味になってしまいました。

ピダムという樹海をさ迷って、アルチョンという新たな刺客に出会いました。
これがまた、中々の殺傷力をお持ちのようです(笑)
そして吹っ切れた為か、ちょっと長いですww


「俺の大切な人に、この薄汚ねぇ手で触ろうとしてたのか? なぁお前、よっぽど死にたいらしいな」

 トンマンを囲んでいた者たちは、体感したことのない威圧感にたじろいだ。多勢に無勢にも拘わらず、その乱入者は据わった眸でありながらも、口元だけは器用に上を向けている。
 賑やかだった雰囲気は凍りつき、声鳴き悲鳴が聞こえてきそうだ。だが彼はそんな状況に構うことなく、周囲をつぃ、と一瞥すると、不機嫌そうに片眉だけをピクリと動かした。

「去れ」

 悪態を吐く暇もなく、散り散りになった影たち。その残った跡地へ、何等意識していなかった女子たちの視線は、自然と引き寄せられるように集った。
 そして彼女らが改めてその姿を見遣れば、数々の美形に見慣れたとの自負が覆るほどの美丈夫が眼光鋭く鎮座しているではないか! 一味違う、粗野ではあるが気位の高い獣のような風格に、彼らを見守る視線の温度と意味が徐に変わってゆく。

「こんな所なんかで一人で居ちゃ駄目だって、俺何回も言っただろ!? あぁもう! 奴に任せたのが問題だった!! やっぱりトンマンには俺が付いてないと--」
「何処へ行ってらしたのですっ!?」

 文字通り膝に触れんばかりに飛び込んできたのは、美しい切れ長の眦をより剣呑に吊り上げた、同じく細身ながらも力強さも感じさせる、しなやかな体躯であった。続く乱入者にトンマンは長い睫毛をパチパチと瞬かせ、傍観者たちは彼女を取り巻く新たな介入者に色めき立った。

「貴方が『ここに居る』と念を押されるから、不本意ながら私は仰せに従ったのではありませんか! どうしてご自分の身を、自ら危険に曝すのです!」
「ちょっ、待てよアルチョン! 俺が戻ってくるまで待たなかったのはお前だろ!? なんでトンマンが悪いことしたみたいに言うんだ!」
「そもそもの原因はお前だ、ピダム! お前が考えなしに彼方此方はしゃぎまわるから、トンマン様がお疲れになってしまわれたではないか! 一刻も早い休息が必要な状況を作り出した、お前が一番悪い!!」

 言葉を失くした顔は、ギャラリー曰くの"涼やかな外貌"を大きな漆黒の瞳に映し、次いで呑んだ息で愛して止まない人を見上げた。
 その打ちのめされた姿と、先ほどまで見せていた表情との違いの落差に何か感じるものがあったのか、控えめにだが黄色い声を上げる女性まで現れる始末だ。
 
「……ごめん、俺…。トンマンと一緒に出掛けられて、……嬉しくて……」
「お前の様子をご覧になり、楽しんでおられたのは確かだ。だがピダム、お前には思慮が足りぬ。常に主の御身体に気を配り、言われずともご意向を察っせねばならぬ。だが、お前はこの--」
「あーもー! くどくど煩せぇなぁ。それはあの女狐…ちょ、悪かった! 悪かったって! あーえー……、チョンミョン、サマ? にでもやってろよ。俺のトンマンは、『心のままに振舞えばいい』っていつも言ってくれるからな!」

 何を思い出したのか、悲壮感たっぷりの顔は、あっという間ににんまりとした脂下がったものに変わった。だが当然、忠義の塊であるアルチョンが沈黙を続けるはずもなく。
 
「だからお前はいつまで経っても子供だと言うのだ! ピダム、お前を傍に置かれることで、トンマン様が軽んじて見られても構わないほど、お前の矜持は低いと言うのか!?」

「--ピダム、アルチョン。話は終わったか? だが、私に構わずとも良い。もっと遊んできてもいいんだぞ?」

 半人前宣言に打ちのめされつつ更なる反論を、とばかりに釣り上がった眸と、キリリと厳しい眼差しで、堂々と受けて立つとばかりに据えていた眸が、その一声に音を立てるように、ばっ、とトンマンへ向けられた。
 果たしてトンマンは見慣れたこの言い争い、もとい……良く言って"熱論的相互理解"な光景を、仲睦まじい『おしゃべり』だとまるっと括って見ていたらしい。そして、ついでのように付け加えられた主の言葉が、更に混迷を極める結果となる。

「……あぁ、そうだな。可愛い仔がいたら、私にも紹介してくれると嬉しい」

「はぁっ!? なっ、何言ってるんだよトンマン! 可愛いなんて俺がトンマン以外に使うはずないし! それに可愛いって、毎日俺に言ってくれてる言葉じゃないか!! そんな俺がいるんだし、他のヤツなんか、全然! 全く! 必要ないだろっ!?」

 ピダムに存在を忘れ去られているアルチョンは、勢いのままに主の胸に飛び込むピダムを、複雑な思いで見上げた。
 アルチョンのくるりとした瞳には、微笑みを湛えたトンマンが映っている。だが、その顔は苦笑に似た面持ちだ。……この判断は、間違っているのだろうか。アルチョンは考えた。

(もしも私が本当に思いのまま振舞ったとしても、トンマン様はお喜びになるのだろうか……?)

 だがトンマンとピダムの共に過ごした年月を思い、未だ新参者でしかない自分が何を不敬なと、アルチョンは己を律した。

「ん? どうしたアルチョン、疲れてしまったか? では、そろそろ帰るとするか。お前が浮かぬ顔をしていると、私も哀しい」
「ちょ、トンマン! こんなヤツ放っておいていいって! 能面ヅラでお高くとまりやがって、偶に喋ったかと思えば小煩せぇことばっか言うし! ……おいアルチョン、トンマンから離れろ。トンマンに触れていいのは、恋人である俺だけだ」

 その後半部分の迫力たるや、遠巻きの更に遠くに固まる、彼に最初にあしらわれた者たちの肩をビクビクと跳ねさせているほどの威力であった。
 一方、アルチョンにとっては、そんなピダムの牽制程度で跳ねる心臓など持ち合わせてはいない。
 もう一度確りと見上げ、主のその双眸の奥を探り、やはり己の判断に間違いはないと確信した。そしてフッと鼻で哂い、道理を弁えぬ不敬な輩をひたりと捉えると、軽やかに応酬を始めた。
 
「なぁピダム。恋人云々も、お前が言っているだけに過ぎないではないか。それに私を傍へ引き寄せられたのは、トンマン様ご自身だ。私が退く必要が、どこにあるんだ?」
「……てめぇ、やっと本性見せやがったな。でもなぁ、お前がいくら頑張ったところで、俺たちの絆には到底入れねぇんだよ!」
 
 そんなピダムの高らかな熱愛宣言を、アルチョンは一蹴すべく、ニヤリと口端を上げた。

「『大好き』、とのお言葉を賜ったのは、まさか自分だけだと思っているのか?」
「……なっ!!」

「……あのぉ突然すいません。もし良かったら、写真を撮らせて欲しいんですけど……」
「えっ? あぁ、勿論構いませんよ?」

「たっ、たとえトンマンがお前にそういったとしてもだな、俺が貰った『大好き』とは、種類と温度が違うんだよ!!」
「ふ、まぁそう喚くな。そうやってお前が強がりたい気持ちも、わからんではないからな」

「あ、並ばせた方がいいですか?」
「はいっ! できれば2ショットでお願いしますっ!!」
「--ピダム、アルチョン!」
「なにっ!?」「はっ!!」

 同時に発せられた声に、トンマンは笑顔で頷く。

「ピダムはここ、アルチョンはその隣に。うん、そこで。……少しの間でいい。辛いだろうが、動かないでいてくれるか?」

 顔に大きく『離れるのは嫌だけどしぶしぶやってます、愛するトンマンのお願いですから』と書いたピダムの横で、『ご命令頂かなくともこの忠義心で、主様の御心を僭越ながらお推察致します』と静かに佇むアルチョン。
 この僅かな距離を開けて鎮座する二匹に、耳障りな音が矢継ぎ早に捩じ込まれてゆく。
 
 ピダムは今にも皴が寄り添うになる眉間を、懸命に抑え続けていた。鬱陶しい蝿を払うようにこれでもかと首を振りたかった。だが横目で見たアルチョンは涼しい顔を崩さず、ちらりと仰ぎ見たトンマンからは--、にっこりと笑みを返された。一瞬にしてピダムの周りに、ピンクの花畑が現れた。

「うわぁ、賢いですね~。普通の猫ちゃんなら、こんなにじっはしていられないですよ!!」
「本当で凄いです! どちらの仔も、ご主人様の言葉を理解しているとしか思えないほどですね」
「こんなに聞き分けがよくて賢い仔に育てられるなんて、誰にでもできることじゃないです!」
「そうですよ! 何か秘訣でもあるんですか?」
「--いえ、ピダムとアルチョンは、私が育てた訳ではありません」

 右手は闇色の額を、左手には琥珀色の頬へと、トンマンはその白い指を触れさせた。

「元々、思いやりのある仔たちなんです。私はその優しさに、何度も救われました」

 皆思い至るところがあるのか、トンマンのその言葉に、神妙な心持で頷きを返す。

「ピダムとアルチョンを褒めて下さって、ありがとうございます。……でもこの仔たちだって、言っても聞かないことだって多々あるんですよ?」

 誇らしげながら、だがどこか気恥ずかしくトンマンの言葉を噛み締めていた二匹だったのだが、突如「何っ!? それはお前のことだろ!」と、弾かれたように互いを見合わせた。 

「昨日だってもう寝なさいって言ってるのに、夜遅くまでずっとおしゃべりしてたんです」
「あ、そうですね。最初の方こそ遊具で遊んでくれてましたけど、一環して他のにゃんこには目もくれず、それからずっと一緒でしたもんねっ」
「そうそう、新しい玩具にも一切興味を示してくれませんでした!」
「それからうちで一番の美人さんにも、」
「とっておきのおやつにも、手を付けてくれませんでした!」

「「「ピダムくんとアルチョンくんは、とっても仲良しなんですね!!」」」

「違う!!!」「それは事実に反します!!!」

 またもやお約束どおり同時に発せられた反論の声に、皆は皆「ふふふ、可愛いわ~」と頬を緩ませた。それもその筈、人の耳には綺麗にはもった「「ぃニャー!!」」としか聞き取れなかったのだから。

「ん? 何だか不満そうだな。よしよし、メンタルケアも大切な主の仕事だからな。言いたいことがあれば、後でゆっくり聞くとしよう。--特にアルチョン!」
「はっ!」
「うちに来た頃に比べれば、リラックスしたいい顔になってるな。それでいい、お前はいろいろと自制し過ぎだ」

 アルチョンは不覚にも言葉が詰まり、主からの指摘に返答できなかった。

「そしてピダム、」

 やや不貞腐れつつも口を挟まずにいた顔が、ぱっと輝く。

「お前は--、うん、……まぁいいや」
「ええーっ!? ちょ、俺にも! 俺にも何か言うことあんだろ、トンマン!?」
「あぁ、わかったわかった。ところで出された食事に、何も手を付けなかったそうだな。ささみが好きだとは知っていたが、まさかそこまでとはな。だったら腹が空いただろう? 心配せずとも、いっぱい作っておいたからな」
「やったぁ! 今日もトリトリ~♪ ………。じゃなくて!」
「そろそろお暇しよう。窮屈だろうが、バックに入ってくれ。ほら、ピダムはそっちだ」

 ちら、と物言いたげな視線をトンマンへ送ったが、ピダムは素直に歩き出した。当然ながら既にアルチョンは、小窓から悠然とした顔を覗かせている。「おお~っ」と周囲から、静かな感嘆の声が上がった。

「お世話になりました。とても楽しかったです、また寄らせて頂きますね」
「「「はいっ! またのお越しを心よりお待ちしております!!」」」

 こうして、初めての『飼い猫同伴 in 猫カフェ体験』は、何事もなく無事終了した。
 --筈だが、「もっとかわいく!もっとトンマンに愛される為には、より可愛さを磨かなきゃ!」と考えあぐねて出た答えがそれかい! とのツッコミの届かない、鏡の前で唸り続ける声や、「実は爪を切られるのが、大の苦手なのです。……この紙の束で研いでも構わないでしょうか?」と、無造作に積まれた貴重な研究資料たちを狙う前足を育ててしまっていることなど、彼らの主は未だ知らない。


そのままの君が好き!  end.



お久しぶりのにゃんこでしたー。
拙いものを最後まで読んで下さって、ありがとうございますーv
これは倉庫から引っ張り出してきたものでして……。元気を頂き、仕上げることができました。

高校生編は今のところ残り2話で完結しそうですが、まだ道は長そうです。
DVDで振り返りつつ、皆を追っ掛けたいと思いますww
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