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 二次作文、第二弾でございます。うん、勢いって凄いね。てか勢いだけだね!
 
恥ずかしくもこんな拙い文章をさらけるのは、こっ酷く批判して欲しいなーと思っているからです(他力本願丸出しですね!

出来上がった内容を客観的に見れないという、最大の欠点からの脱却はとっても難しいです(><)
悪いということだけは、十分にわかります。改行すらどこで付けていいのか、未だに迷う初心者振り。
あ、いけません、愚痴モードは鬱陶しいだけですね。反省反省。

いちゃいちゃする二人が書けましたので、その一点では満足しております。はい。
タイトルは引き続き、「君で変わってゆく10のお題短文篇」から頂きました。ありがとうございます!


 約束の時間までは、あと少し。
 ピダムは足取りも軽く、二つ星ホテルの豪奢なフロントを横切った。
 一目でオートクチュールとわかるスーツを自然に着こなし、それでいて一部の隙もなく整っている彼の姿態を、幾つものあからさまな熱視線が追い駆ける。
 今のピダムには、そんなあからさまな視線すら見えていなかった。
 やっと、離れ離れになった恋人に会える。
 それだけで沸き上がるものが抑えきれずに、彼の頬を上げた。


***

 一方、ピダム曰く"宿命の恋人"であるトンマンは、彼とは逆に無理矢理頬を上げる。
 華やかな服に押し込まれた顔が、引きつった笑みを返す。
 余す所なく映っている己の姿をまじまじと覗いては、込み上げてくるものを抑えられずにいた。

(全然、似合ってないではないか……)

 設えてくれる女性達が怪訝な顔を見せる前に、経済界のゲストとして堂々と在らねばならぬと気を張っていた。
 ……気を張っては、いた。
 またしてもトンマンの顔が萎む。
 いけ好かない輩に何と思われても構わないが、トンマンの唯一と決めた男にだけは失望されたくない。

「あの、宜しいですかトンマン様。御髪にもう一度手を入れさせて頂きます。どうぞ此方へ」
「はい、すぐに参ります」



 緊張と不安と、少しばかりの期待で物思いに耽るトンマンを、このフロアのチーフであるスンミは微笑ましく思っていた。
 煌びやかな社交の場でも、笑顔の裏では舌を出し合う賭場のようなものだ。
 荒海にも似た喧騒の中に彼女を飛び込ませるには、一つ足りないものがある。

「じゃ、後はお願いね」
「はいチーフ、お任せください」

 これから浴びせられるであろう心無い言葉達で、無垢なトンマンを傷つけたくない。
 若いが腕は確かな美容師にその場を任せ、スンミは視線を八方に巡らせた。


***


 ラウンジから階下の衣装室まで、悉く視線を引き付けつつも、頭の中はトンマンとの甘い妄想でいっぱいなピダムであったが、美しく磨かれた硝子越しから覗いたソレに、ひくりと片頬を歪ませた。

(おいおいおいおい、誰に断ってトンマンの髪に触ってるんだ!?)

 しかもよく見れば、彼女の円やかな肩にまで触れているではないか。

(あいつ仕事だからって何してもいいと思っていないか? はっ、仕事に託けてトンマンに触ってんじゃねぇだろうな! そこまで顔を近づける必要なんてないだろ! ちょっと目を離すとすぐこれだ。俺のトンマンに気安く触れた上に、デレデレと話しかけてんじゃねぇよ!!) 

 ピダムの嫉妬に塗れた推考はもう止まらない。
 距離を伸ばした歩幅で、目的地まではあと僅か。残すは実力行使のみである。
 先触れなど無視し、苛立ちのままの力強さでドアノブに手を掛けようとした、まさにその時---。

「あら、トンマン様の旦那様の、ピダム様でいらっしゃいますか?」
「--はっ!?」

 ピダムの脳内で、夢のような言葉が意思を持って反芻してゆく。
 先ほどまでの有無を言わせぬ威圧感も、あっけなく形を潜めた。

「あらあら、私としたことが申し訳ございません。ピダム様もトンマン様も婚儀はされてらっしゃらないというのに、お二人がとてもお似合いで……。つい先走ってしまいましたわ」
「いえ、直に婚約を結ぶ予定ですので、間違いではありませんよ」
「まぁ、それは大変慶ばしいことですわね! お祝い申し上げますわ。あら…、お待たせ致しました。トンマン様の御仕度が整ったようですわよ」

 振り返ったピダムの双眸に映ったのは、おずおずと一歩を踏み出す、雪のように淡く輝く儚げなトンマンだった。


***


「その…、お待たせして申し訳ありません。どこか、可笑しくはないでしょうか?」

 呼吸を落ち着かせようと、トンマンが数えながらピダムの応えを待つ。

「……」
 応えはない。
「……」
 更に待つ。

 待てども沈黙しか帰ってこず不安になったトンマンは、磨き上げられたピダムの革靴からそろそろと視線を上げた。

「やっぱり似合いませんよね。すいませんでした。あの、まだ時間は在りますのですぐに着替えて…、」
「……吃驚した。トンマンだけど、トンマンじゃないみたいだ」

 褒められてるのか貶されてるのかわからないピダムのコメントを、けれどもトンマンは後者の感想だと決め付けた。 
 
 肝心なところで押しが足りない男に焦れたスンミは、やんわりと助け舟を出す。

「本日トンマン様が選ばれたドレスは、今ピダム様がお召しのものと対に成ってましてよ。気づいていらっしゃいましたか? お二人が並ばれると、とても目を引きましてよ」
「あ…、そういえばここ、同じ刺繍があります。ピダムさんと御揃いなんてちょっと照れますけど、なんだか嬉しいですね」

 最後の仕上げにと、胸元に控えめに飾られた真白い華。幾重にも重ねられた薄い絹布を透かせば、繊細な刺繍が見事に施されていた。
 ふふ、と、やっと肩の力が抜けたようないつもの笑みを零したトンマンに、ピダム頬がわかりやすく染まる。

「でも、本当に変じゃないですか? 私が傍に居て、ピダムさんに恥をかかせたりはしませんか?」
「……ごめん。肝心なことなのに、一番にトンマンに伝えなきゃいけなかったのに、俺、まだ言ってなかった」

 そうしてやっと、トンマンも恋人の姿を目に入れた。
 はにかむ笑顔は常と変わらない子供のようなのに、撫で付けた髪の所為だろうか、雰囲気が違って見える。
 ピダムと目が合うとトンマンの頬も彼と同じ色が添えられた。

 そっと縮まる距離に高まる鼓動が聞こえはしないだろうか、そんな気恥ずかしくも思わず零れる笑みが優しく重なるより前に、すでに気を利かせた者達によって、二人を邪魔するものは一切排除されていた。
 
 女性は愛する男性からの言葉一つで醜くも美しくも、頼りなくも頼もしくも変わってゆくものらしい。

***

「ふふふ。まだまだ引退はできないわねぇ」

 初々しくて、世話を焼きたくて仕方のない人物に出会ってしまったスンミはノックしな早々、少しばかり呆れ顔する旦那様を捕まえ、嬉々として若人達の明るい未来の展望を語ってみせた。
(ああ、またしても妻の悪癖が出てしまったのか)
 そう苦笑しつつも、彼女の旦那様であるこの老舗ホテルのオーナーは、いつものように余念無く根回しの算術を巡らせたのであった。


(おまけ)
「あー、会いたかったぁ! トンマン、俺もうこんなに長く離れるなんて嫌だ!!」
「こんなにって…、仕度に半日ほど別行動しただけじゃないですか」
「えっ!? トンマンは俺に会いたくなかったの? 俺に会わなくても平気だっていうの!?」
「え、いや、…その、今頃ピダムさんは何してるのかなぁとは、考えましたが。あ、後、何故か衣装チーフの方に「奥様」って言われて焦ってしまいました。ピダムさんが結婚していないことは、有名なことなのに……」
「ってことは、トンマンの結婚相手は俺しかいないってことだよね!!」
「え? 、あっ…!! そういうことじゃなくて、いえそういうことじゃない訳じゃないんですが…っ! あぁっ! い、今のは無しでお願いします!」


(あーもう可愛すぎるだろ! これは婚約式だけでも早く済ませないと、俺の理性が本気でヤバイ)
(恥ずかしすぎる…っ! これはきっと着慣れない服と見慣れない顔の所為だ! やっぱりパーティなんて大嫌いだー!!)


素のままの自分が好きだと、そう告げてくれた人  end.

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